私は今は自分がセッションをご提供している立場ですが、
8年間ほどクライアントだった経験があります。
「教育分析」的に心理療法やそれに類するものを受けていました。
人と向き合う仕事に就く人は、
自分自身に向き合う経験が必要です。
自分を知ること、
自分の見たくないところを見ること。
自分が傷ついた経験や消化できていない感情を捉えなおすこと。
その時流せなかった涙を流して、
いっしょに悲しんでくれる人がいることを経験すること。
そんな過程を経て、自分自身の心の整理をしながら
セッションを維持する「器」や「力」のようなものを
自分の中に作っていくんですね。
それをせずにクライアントさんのお話を聞いていても、
なかなかセッションが深まらないと思います。
そして時に、クライアントさんのほうが
器が大きかったりすると、
カウンセラーとクライアントの立場が逆転してしまって、
知らず知らずのうちに
カウンセラー自身の悩みを解決するためのセッションになってしまう、
そんなことも起きてくるわけです。
カウンセラーはそういうことが起きる、という可能性について
知っておかなくてはなりません。
カウンセラー自身も人間であって、
痛みを感じながら生きているという事実は
決して消えることはないのです。
そうやって、自分自身を受け入れながら、
同時にクライアントさんに向きあうのが
本物のセッションだと思っています。
これは本当に難しいことです。
でも、できるかできないか、ではなくて
その作業を続けていること自体が、
安全にセッションの場を提供することにつながります。